世界で一番しあわせな食堂
フィンランドの小さな村にある食堂を舞台に、異国から来た料理人と地元の人々が織りなす心の交流を描いたヒューマンドラマ。フィンランド北部の小さな村。シルカが営む食堂に、上海からやって来た料理人チェンとその息子が訪れる。チェンは恩人を捜していると言うが知る人は誰もおらず、シルカは恩人捜しに協力する代わりに食堂を手伝ってもらうことに。”医食同源”を料理哲学とするチェンの料理は評判を呼び、食堂は大盛況。シルカや常連客たちと親しくなっていくチェンだったが観光ビザの期限が迫り、帰国の日が近づいてくる。
ふくしま原発はじまり物語『峠』
アニメーション
2022年/日本/55分
監督:いくまさ鉄平
”ヒロシマとフクシマの歴史的なつながり”を描く紙芝居アニメーション。ヒロシマに日本で最初の原発が作られようとしていた事、原爆資料館で原子力の平和利用博覧会が開かれた事など、原爆と原発、これら驚愕の関係性に気づいた監督は広島の作家として作らざるを得なかった。原爆被害という”絶望”からの核の平和利用という”希望”、そして福島の原発事故という”絶望”を一人の被災者の時間軸の上に置いたとき見えてくるものがある。事故から10年、峠を超えた日本はSDGsの観点から原子力発電を再検討する傾向にある。 新たな一歩を踏み出す前に見てほしい作品。
あさがお灯籠
ドキュメンタリー
2021年/日本/67分
制作・撮影・語り・監督:青原さとし
朗読:青原陽子
広島県は浄土真宗のお寺が数多くありその信徒のことを「安芸門徒」と呼ぶ。お盆の時期、各家々のお墓に一斉に立ち始める「あさがお灯籠」は安芸門徒の風物である。竹と和紙だけで簡素に作られたあさがお灯籠とはいったい何故生まれたのか?広島市の真宗のお寺・真光寺に生まれ育った青原監督は、1990年頃から30年に渡って灯籠職人や市井の人々に問いかけ取材を敢行した。あさがお灯籠を通じて見えてくる「ヒロシマ」、日本列島に底流する「ともし火」文化の想いが映し出されてくる。
ヴェンデ 光と水のエネルギー
ドキュメンタリー
2021年/日本/86分
監督:高垣博也
WENDE(ヴェンデ)とはドイツ語で大改革の意味。化石燃料から自然エネルギーへと転換するエネルギー改革の意味でも使われる。作品では近畿地方での自然エネルギーの取材を行い、太陽光発電と小水力発電を中心に捉えながら、農業や林業とのつながりが見えることからバイオマス発電も取り上げる。原発事故を契機に世界が自然エネルギーに舵を切る中、出遅れている日本。 民間ながら京都議定書、原発事故、気候危機をきっかけに自然エネルギーの導入に動く多くの人々を追う。
くじらびと
およそ400年間続く伝統的な捕鯨の様子を捉えたドキュメンタリー。インドネシア東部にあるラマレラ村ではクジラのモリ打ち漁が行われており、その中でも「ラマファ」と呼ばれる漁師たちは村人たちに一目置かれている。年間10頭ほど獲れれば村人全員が暮らせるだけの収入になるクジラ漁は、常に死と隣り合わせでもある。それでもモリ一本で巨大なマッコウクジラに挑む姿を見て、子供たちはラマファに憧れる。石川監督はおよそ30年にわたりラマレラ村の人々を追いかけ、2017年から2019までに撮影した映像をまとめた。 オフィシャルサポーターに山田洋次監督らが名を連ねる。
食の安全を守る人々
日本、韓国、アメリカなどを周り、グローバル化したアグリビジネスの現状や、各国で食の安全に取り組む人々を映し出すドキュメンタリー。日本では種子法の廃止、種苗法の改正、ラウンドアップ規制緩和、表記のないゲノム編集食品流通といった事実がほとんど報道されないことに危機感を抱いた原村政樹監督と、弁護士で元農林水産大臣の山田正彦氏は、各地を回り撮影を開始。日本国内だけでなく、アメリカでのモンサント裁判の原告や、子どものために国や企業と闘う女性、韓国の小学校で普及するオーガニック給食などについて幅広く取材する。
五島のトラさん
長崎県の五島列島で五島うどんと天然塩の製造に従事する大家族を1993年から22年間追い続け、国内外の賞を受賞したドキュメンタリー。長崎県の五島列島北部に位置する新上五島町で、五島うどんと天然の塩を作っているトラさんこと犬塚虎夫さんとその一家。妻の益代さんとの間に生まれた7人の子どもたちは、朝早くから交代で家業を手伝ってから、学校へ向かう。「学校では教わらないことを家の手伝いを通して学ぶ」とトラさんはいう。過疎化が進む島で生きていく術を考えながら豊かに生きている、そんなトラさん一家の暮らしと子どもたちの22年におよぶ成長の記録。
僕は猟師になった
NHKのドキュメンタリー番組「ノーナレ」で放映された「けもの道 京都いのちの森」の劇場版。300日の追加取材を行い、撮りためた約2年間の映像を再編集して命と向き合う猟師の日常を映し出す。1974年に兵庫県で生まれた千松信也さんは京都大学在籍中に狩猟免許を取得し、先輩の猟師から伝統的なくくりわなや無双網を使った猟を教えてもらう。週の半分は運送会社に勤務して必要な生活費を稼ぎ、残りは京都の山中で猟をしながら生活している。千松さんは生きていくために必要な食料を自らの手で獲る猟がしたいと考え、自分や家族、友人に必要な分だけ獲物を狩る。
極道めし
劇映画
2011年/日本/108分
監督・脚本:前田哲
原作:土山しげる
出演:長岡佑、勝村政信
とある刑務所。傷害罪で入所した栗原、通称”新入り”が刑務所の地味な食事に落胆していると、その様子を見た同じ監房の4人が、新入りの分の食事を平らげてしまう。そんな刑務所の食事の中でも特別なのが、年に一度しかない正月のおせち料理。この監房では、おせち料理を懸けて思い出の味を語るバトルをするのが恒例だった。思い出の”めし”についての自慢話バトルを繰り広げるヒューマン・コメディーを『ブタがいた教室』などの前田哲監督が映画化。食べることと人との深い関係を描くことで、その旨いめしの話を語れば語るほど、愛したあの人を思い出す。
弁当の日
「めんどくさい」は幸せへの近道子どもが作る”弁当の日”。それは2001年、香川県にある滝宮小学校から始まった取り組み。「家の台所で、子ども自身に弁当を作らせてください。そして、それを学校に持たせてください。親は決して手伝わないで。献立から片付けまで、やるのは全部子ども自身です。」前代未聞の”宿題”に保護者も教員もびっくり!!ところが、20年目の今、子どもが作る”弁当の日”は全国各地に広がっている。「してもらう」側から「する側」へ成長するチャンスを得た子どもたちの笑顔と涙、そして「してやるだけが子育てじゃない」と気づく大人たち。”弁当の日”マジックが起こすハートウォーミングドキュメンタリー。